バイオベンチャーの株は難しいとよく言われます。
バイオベンチャー株は新薬の承認申請や、新薬の承認試験の進展具合、他の製薬会社との提携のニュースが流れるとものすごい勢いで値上がりすることがあります。
ただ大抵値上がりしたどのバイオベンチャーも高値は続かず、ものすごい勢いで下落していき上昇前の値にもどすということが多々あります。
「バイオは吹いたら売り」
バイオベンチャー株を扱う時にわたしが肝に銘じている格言です。
バイオベンチャー関連銘柄リスト

銘柄 | 備考 |
【2160】ジーエヌアイグループ | 創薬ベンチャー。米国で人工骨も。中国の特発性肺線維症薬で高シェア、米中に研究開発機能 |
【4564】オンコセラピー・サイエンス | がん治療ワクチン創薬ベンチャー。大手製薬と開発提携。東大医科研発。 |
【4582】シンバイオ製薬 | 血液関係のガンの薬品を手掛ける創薬ベンチャー |
【4592】サンバイオ | 中枢神経系疾患領域の再生細胞薬を開発するバイオベンチャー。 |
【4575】キャンバス | すい臓がんの抗がん剤開発 |
【4565】そーせいグループ | 創薬ベンチャー老舗。英へプタレスを買収。英国王立癌研究基金と臨床試験の契約。 |
【4571】ナノキャリア | がん領域に特化した創薬ベンチャー。超微細な「ミセル化ナノ粒子」で副作用少ない新薬目指す |
【4587】ペプチドリーム | 基盤技術PDPSで特殊環状ペプチド医薬品候補を大手製薬と創製、技術供与。自社創薬も |
【4974】タカラバイオ | 遺伝子・再生医療研究用試薬や理化学機器販売が主。再生医療開発にも注力。 |
【4591】リボミック | 東大発の創薬ベンチャー。RNA(リボ核酸)を利用した分子標的薬(アプタマー医薬)を開発 |
注目のバイオベンチャー3選

難しいバイオ株ですが、今注目しておきたいバイオベンチャー銘柄をおさえておきましょう。
【4582】シンバイオ製薬

時価総額 | 285億円 |
発行株数 | 3950万株 |
経常利益 | 17億5千万円(2022年12月期予想) |
配当 | 0円 |
シンバイオ製薬はがん、血液領域を中心とする希少性疾患に特化したバイオベンチャーです。他社から有望な新薬候補を導入し、開発製品化するという独特なビジネスモデルを持った会社です。
2021年に入ってからバイオベンチャーには数少ない黒字転換期待から値が上がり、2021年6月には最高値の2566円をつけたのですが、その後中間決算で期待外れ売りから暴落しました。結局2021年通年で黒字を達成したのですが、「事実で売られる」形となり株価は低迷しています。
2022年に入ってからは主力製品のトレアキシンのジェネリック不安により一段と株価を下げました。
しかし、2年連続で黒字は確実であり、新たな主力製品になるであろうBCV(ブリンシドフォビル)の承認の進捗状況によっては再び浮上する可能性もあります。
信用買い残の状況、決算の数字をにらみながら買うタイミングをはかりましょう。
ジェネリック問題やBCVの承認状況によっては株価がどん底まで突き落とされる可能性もあるので、リスクが高い銘柄でもあります。
【4565】そーせいグループ

時価総額 | 1069億円 |
発行株数 | 8192万株 |
経常利益 | 4億3千万円(2021年12月期) |
配当 | 0円 |
そーせいグループは老舗の創薬ベンチャー企業です。買収した英へプタレスが事業の柱。
Gタンパク質共役受容体(GPCR)の安定化技術と構造ベース創薬のプラットフォームを活用、神経疾患、免疫疾患、消化器疾患、炎症性疾患など複数の疾患領域において、幅広いパイプラインの構築に取り組んでいる。
EP4拮抗薬(癌細胞の多岐に及ぶ防衛能力(体内の免疫抑制)を総合的に打ち消す可能性がある)に関して世界最大の民間癌研究基金である英国王立癌研究基金(Cancer Research UK)との間で臨床試験実施に関する契約を締結した。
2023年12月の通期経常利益に関して46億円というコンセンサス予想も出ており、業績の拡大、新薬の承認によって株価が大きく跳ねる可能性はある。
【4575】キャンバス

時価総額 | 92億円 |
発行株数 | 1150万枚 |
経常利益 | -8億7千万円(2022年6月期会社予想) |
配当 | 0円 |
キャンバスは抗がん剤開発に特化したバイオベンチャーです。
同社の抗がん薬開発品CBP501の膵臓がんに対する米国第2相臨床試験の進捗状況が報告され、1例のポジティブな経過が発表された。
これが材料視され、6月初旬の100円台から7月19日の1054円まで10倍近く株価が上昇した。
臨床試験が第3相に入り、さらに薬が承認されれば世界初の膵臓がんの3次治療薬となるため、株価は大きく跳ね上がるだろう。
ただ、現状1054円の高値まで1か月半ほどで一気に上がったため、バイオ株の傾向として一気に下落する可能性もあるので、しばらく観察にとどめておいた方が良いかもしれない。
決算が赤字であるということも留意しておいたほうがいいポイントだ。
薬の臨床試験の進捗状況の情報や、会社からのIRに注意を払っておき、大きく値を上げそうなら買いに入るという戦略がベストかと思われる。
まとめ
今回注目した3銘柄はいずれも癌関連のバイオベンチャーです。癌は日本人の2人の1人がなると言われ、様々な治療法の開発が試みられています。
癌関連の治療薬は成功すれば利益が大きくなり株価を大きく押し上げることにもなりますが、逆に失敗した場合はなにも残らない、ハイリスクローリターンな分野でもあります。
「癌治療に貢献する銘柄に投資するぞ」という意気込みで買っても、大きく値を下げてしまってはなかなかキビシイものがありますよね。
シンバイオ製薬、そうせいグループ、キャンバス共に一度大きく値を上げて、その後下がって行っている傾向にあります。冒頭でも述べた通り、「バイオは吹いたら売り」の原則に従うならこの3銘柄はしばらく様子見したほうがいいのかもしれません。
ただ、3銘柄とも大きな可能性を秘めた銘柄でもあるので、ある程度下がり切ったら少しずつ買っておくのも良いと思います。
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